フンジェラーブ峠 : 中国パキスタン国境
[ 北部パキスタン略図 ]                 
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                                                      フンジェラーブ峠への道

フンジェラーブに至る渓谷
b0049671_1240332.jpg     スストの標高は2800m、
     ここを過ぎるとカールン・コーの北側を回り込むように
     KKH(カラコルム・ハイウェイ)は北上し、
     やがて標高をグングン上げながら東に向かう。
     中国領新疆ウイグル自治区との国境、
     フンジェラブ峠まで87kmの行程だ。

     この国境は概ね12月から4月までの5ヶ月間は、
     雪の為に閉鎖される。
     この付近に国境事務所のような物は無い。
     パキスタン側は前の記事でも書いたように、
     スストがイミグレーションになる。
     中国側はここから北に127km下った
     タシュクルガン(標高3200m)になる。

     国境超えのバスはスストからタシュクルガンまで
     運行されている(カシュガルからはタシュクルガンで
     1泊)が、フンジェラブまでの往復はどちらからも
     出来ない。
     その場合には車をチャーターすることに成る。


フンジェラブ峠は広い高原のような処で、氷河から溶け出した流れが湿地を作っている。
標高は4730m、一気に2000m近く標高を上げる事に成る。
バスやジープなどで登ることになるが、それでも頭痛や息苦しさは覚える。
勿論、ここで走り回ったりしてはいけない。
標高4730mといえば、ヒマラヤ・トレッキングでは充分な順応無しには、とても登れない高さなのだ。


    国境に立つ標識 :それぞれの国名は自国側を向いている(中国の文字の向こうはパキスタン領):著者は左
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 僕が初めて現行中国領であるウイグルスタン(新疆ウイグル自治区)に足を踏み入れたのは1990春のことだ。
 その10年前、NHK特集『シルクロード』のシリーズが放送された。日中共同制作であるにも拘らず、取材班は78年に
出来て間もないこの国境の道をパキスタンに抜けることは出来なかった。国境が第三国人に開放されるのは86年になる。
 ところが90年のその年、敦煌からやって来たトルファンの宿で、思いもよらないニュースを聞くことになる。ほんの数日前、
これより西への外国人旅行者の入域が禁止されたというのだ。疫病だという話はあったが、何処に問い合わせてみても
詳細は分からなかった。兎に角、バスターミナルの窓口は頑なにチケットを売ってくれなかった。
 結局、事実は短波ラジオでBBCを聞いた欧米人からもたらされた。カシュガル付近で民族暴動があったらしいという。
旅行者の1人が北京の日本大使館に電話をする。暴動というニュースには接しているが詳細は分からないというのが回答
で、逆にトルファンの状況を取材されたという。更に知りうる限りの滞在者の名前とパスポート№とを知らせてくれるように、
その上で即刻、新疆から立ち去るようにと指示されたらしい。ところでトルファンは穏やかそのものだったのがだ。
 この時、僕は数人の旅行者と誘い合って、観光用の幌を荷台につけた軽三輪を捕まえ、トルファンから西に向かう道が
区都ウルムチへの道と分かれる町に向かった。案の定、ウルムチから西に向かうパスを発見。僕は止まり切らない荷台
から転がり下りるようにして、バスの前に走り出た。運転手と交渉。成功だった。このようにして天山南路中間のオアシス、
クチャまでは進入したのだが、そこから進むのは3年後になる。
 93年、その年は国境を越えるには季節が合わなかった。そして何より、僕はチベットを目指していた。ウイグルスタン最後
の町、タシュクルガンまでは登ったものの、そこから引き返すことになる。
 パキスタン側からついにフンジェラーブ峠に至ったのは、96年夏の終わりだ。初めてここを目指してから、実に6年。
だが、今回、漸く取った休暇は3週間でしかなく、この国境を越えることはできない。
 それから更に10年、タシュクルガンまで127km、僕にとってそれは、今も越えられない距離として残されている。


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                      氷河から流れる水で湿地を成すフンジェラーブ峠
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by meiguanxi | 2006-10-25 12:46 | インド・パキスタン | Comments(0)
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