[ 雲南省略地図 ]
中国には漢民族以外に55の少数民族が住んでいるが、中でも雲南省にはそのうちの24の民族が集中している。北西にはチベット系、西にはビルマ系、南には山岳民族。 地図を見ると、チベット高原の東端からインドシナ半島に向かって大きな山脈郡が南北に走っている。まるで雲南省は左右から圧縮された褶曲地形そのもののように見える。この山脈郡を横断山脈というが、ヒマラヤと同じく、インド亜大陸がユーラシアに衝突してできた深い皺だ。その皺の谷間を南北に金沙江、怒江、瀾滄江といった川が狭い間隔で流れる。金沙江は東隣の四川省に入り長江と名を変え、後の二つは国境を越えるとそれぞれタンルウィン、メコンと呼ばれることになる大河の上流だ。 省都である昆明(クンミン)から西に400㎞、山脈の谷沿いに洱海(アールハイ)という湖がある。その東畔に大理(ダーリ)はある。唐代には南詔国、宋代には大理国として栄えた白族(ペー族)の土地だ。 大理国は13世紀半ば、モンゴルによって滅亡する。現在の大理古城(旧市街)は明代初頭14世紀に築かれたもの。 大理鎮と洱海俯瞰 大理南門 路上の朝市(今は区画整理され、残っていない路地) 水路のある路地 洱海南端に大理市という近代的な大きな町があり、ここが大理白族自治州の州都なのだが、 元々は下関(シィァグゥァン)と言って漢族が建設を進めた町。今では(知る限り98年には既に)立派な高速道路が出来、昆明からドイツ製の豪華なバスで5時間程だが、嘗て(知る限り少なくとも92年まで)は、横断山脈を縫うようなひとつのトンネルも無い道だったので、12時間近く掛かったものだ。 大理古城(大理鎮)はここから市バス(嘗てはローカルバス)で洱海沿いに20分。小さな田舎町で、往時は城壁で囲まれていたが、今は南北の城門付近と西側の一部に残るのみだ。 下関からの道は、城壁の西外の滇蔵公路を北へと走る。「蔵」の字で分かるように、この路はチベット東部へと続いている。東側に広がる田畑の向こうには蒼く輝く洱海、直ぐ西側は緑成す蒼山。蒼山は19峰から成る3・4千m級の山脈で、頂きは白銀の連なりだ。 第二招待所(紅山茶賓館)前の藍染仕立屋 復興路の屋台 南北の城門を貫くのメインストリートが復興路、これと十字に交差するのが護国路、別名外人街。今でこそ大理鎮には多くのホテルやゲストハウスがあるが、嘗て外国人旅行者が宿泊可能な宿は2つしかなく、多くのバックパッカー達は復興路西側の護国路にある第二招待所(現在の紅山茶賓館)にほぼ結集していた。この為、短い通りには外国人用の飯屋が並んでいたが、それでもその当時にはほんの数件程度だった。 当時(知る限りでは90~92年)、大理を訪れる旅行者は外国人バックパッカーしかいなかった。瓦葺の昔ながらの質素な家々、石畳の狭い道、そういった素朴な風情が好まれ、長逗留する者やリピーターも多かった。 農暦 2・9・16・23日に路上市が立つ。また、近隣で開かれる定期市は、民族衣装を着た沢山の人々で賑わう。更に農暦3月中旬(新暦4月)には、雲南各所の少数民族が一同に会する祭典、三月街が開かれる。 三月街に来た少数民族 三月街のパレード 大理鎮と洱海間の田園 洱海湖畔の村 だが、その後、中国の経済発展が進み、大理の北の麗江(リージィァン)が97年に世界遺産に登録されると、町は一変した。下関には大きなホテルが続々と建設された。大理鎮も区画整理され、新しい建物が次々に建てられた。 石畳は消え、嘗ての飯屋は小洒落たカフェやレストランに姿を変えた。中国人団体旅行者が狭い町に溢れ、バックパッカーの長期滞在者は少しずつ姿を減らしていった。 今も落ち着いた過ごし易い町であることに変わりはないが、嘗ての素朴さは幾分失われた感が否めない。 (写真は全て90・92年当時)
by meiguanxi
| 2006-12-02 08:14
| 雲南省と少数民族
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by meiguanxi
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