ヘミス・ツェチュ(ラダック) : チベット仏教僧院の仮面舞踏
[ カシミール・ラダック略地図 ]
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                                                 チャムが行われるヘミス・ゴンパ

 インド西北部ジャンムー・カシミール州、その東部にあるラダック地方にはチベット仏教文化が色濃く残されている。ラダックの多くのゴンパ(チベット仏教僧院)の祭りではチャムと呼ばれる仮面舞踏が行われるが、ヘミス・ゴンパで行われるヘミス・ツェチュ(チェチュ)は中でも最も有名だ。
                                               ラダックはヒマラヤ西部の山岳地帯、インダ
パドマ・サンバヴァと八化身                             ス川上流域に広がる地域だ。中心の町 レー
b0049671_10275855.jpgからインダス右岸(北側)を東に約40km遡り、対岸を7.5km分け入る。小さな集落の裏に、ゴンパは岩山にへばりつくように建っている。ヘミスはチベット仏教四大宗派のひとつであるカギュ派の一派であるドゥクパ・カギュ派の総本山で、ラダック最大の規模を誇る。
 レーからは朝夕にあるミニ・バスで2時間ほどなのだが、この集落に宿は無く、僕はゴンパ付属のキャンプ場にテントを張ったのだが民泊も可能であるようだ。尚、チェチュの期間はレーからのバスは増発される。
 この祭りはチベットに仏教を伝えたグル・リンポチェ(パドマ・サンバヴァ)を讃えるものだ。「ツェチュ」とは「(月の)10日」という意味だそうで、この日に祭りが行われるのは誕生日であるとともに、彼の多くの奇跡が月の10日に起こされたということに由来する。月はゴンパによって異なるのだが、祭りの期間は1週間でチャムはこの最後の2日間(ヘミスの場合、チベット暦5月10・11日)に行われる。因みに2007年は西暦で6月25・26日だった(以後の予定は2008年7月12・13日、2009年7月1・2日)。


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 チャム初日の未明、テントの中で眠っていると夜の闇のをブォーン、ブォーンという低く大きな音に目を覚まされる。午前3時だ。ゴンパで吹かれる管楽器の音なのだが、それは闇を引き裂くのではなく、闇を包み込むように鳴り響いていた。
 早朝、フォルンのような4mはあろうかという大きな管楽器の腹の底に響くような音(未明に聴いた音だ)と、太鼓やシンバルの単調な、しかし厳粛なリズムの中で大タンカ(仏画)が開帳され、仮面を付けた僧侶達による舞踏が披露される。チャムではグル・リンポチェとその化身が、土着の神達を鎮め仏教の護法神に変えたという物語が展開される。よく「チベット・オペラ」などと言われることもあるが、実際にはオペラや例えば京劇のようないわゆる劇性は低く、仮面を付けた数人から十数人の登場人物達が輪をなして踊ることで進められていく。詳しい説明をしているHPやブログもあるようなので、興味のある方は検索してみると良いかもしれない。

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 少し残念な話。
 ヒマラヤの山奥に非常に幻想的な光景が繰り広げられるのだが、最近では観客の殆どが外国からの観光客で、地元の人々の姿は少数だ。また、何時間も前から地面に座って待っている人の前に平気で席を取ってしまう西洋人団体、日本人も含めて立ち上がったり舞踏の場に出て行って写真を撮ろうとする者も多く、良い席を確保できなかった場合には落ち着いてその雰囲気に浸ることは難しいかもしれない。

 ※ 尚、こちら(外部サイト)のフォト・アルバムも合わせてご覧頂ければ幸いです。

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by meiguanxi | 2007-08-23 07:25 | ヒマラヤ・チベット | Comments(0)
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