グルジア軍用道路 (グルジア) : 大カフカス山脈を越える道
[ カフカス略地図 ]
b0049671_153617.jpg
                                   ムツヘタの町:大きな建物はスヴェティ・ツホヴェリ大聖堂


 グルジアの首都 トビリシ からアラグヴィ川沿いに北に伸びる一本の道がある。
 道は大カフカス山脈を越えて、ロシア領北オセティア・アラニア共和国の首都ウラジカフカス(オスジョニキーゼ)までの200kmを走る。元々この道は南北カフカスを繋ぐルートだったようだが、道路としては1799年、帝政ロシアが軍用に整備した。この地域を支配していたカルトゥリ・カヘテ王国は、ペルシャの驚異から積極的にロシアの保護国となった。この軍事道路を足掛かりに、ロシアは南カフカスを併合していったのだ。
 ロシアの文学者プーシキンやレルモントフはこの地に魅了され、作品の舞台とした。それがロシアや旧ソ連領での、この道への憧れを決定付けた。

スヴェティ・ツホヴェリ大聖堂:(ムツヘタ)
b0049671_15364994.jpg トビリシを出ると北西に30分程で、道はまずムツヘタの町を通る。ムツヘタはアラグヴィ川とムトゥクワリ川とが合流する場所にある小さな町だ。古来、この地方はイヴェリア(ギリシャ語)と呼ばれたが、地元ではカルトゥリと自称された。現在これはグルジア語を意味する言葉でもある。カルトヴェリというグルジア人の自称もここから発している。
 ムツヘタは紀元前には古代イヴェリア王国の都が置かれた場所であり、4世紀にはキリスト教を受け入れた土地でもある。12世紀にトビリシに移されるまで、ここはグルジア正教最大の聖地でもあった。スヴェティ・ツホヴェリ大聖堂は往時を偲ばせる最大の見所。


アナヌリ教会:(アラグヴィ川沿いにある要塞建築の教会)                         アナヌリ教会の鐘楼
b0049671_15374915.jpgb0049671_15383581.jpg



ジュワリ(十字架)峠付近からの景観
b0049671_15392297.jpg ムツタヘから道はいよいよアラグヴィ川の渓谷を北へ遡る。途中、アナヌリ教会の威容やジュワリ(十字架)峠(2379m)など、美しい風景が続く。渓谷を遡ること30kmほどで、ダムに遮られた人造湖に出会う。この北側の端に建つアナヌリ教会は17世紀終葉に建設された要塞建築の教会で、渓谷の関のようにも映るその姿の美しさは絶賛に値する。
 だがこの道の西はイラン系オセット人の南オセティア自治州(自称)で、グルジア独立に際しては編入問題で政府との間に激しい戦闘があり、グルジア領でありながら現在は双方が干渉しないとう曖昧な状態が続いている。この国の難しい問題が垣間見られる場所でもあるのだ。

 ジュワリ峠からはテレク川沿いを下る。ムツヘタ観光をトビリシからの往復で別にすれば、途中の見学も含めて4時間程で、グルジア側最後の村カズベギに着く。カズベギはテレク川沿いの小さな山村だ。訪れた時にはホテルも閉まっていて、チャーターしたタクシー・ドライバーが民宿を探してくれるという状態だった。


カズベギ村とツミンダ・サメバ教会、カズベキ峰                               カズベギの老母娘
b0049671_15401857.jpgb0049671_15405872.jpg


 村外れの山頂に14世紀の美しい小さな教会がポツンと建っている。ツミンダ・サメバ教会。カズベキ峰(5033m)を背景に浮かび上がるその姿は神秘的だ。
 道はこの後、ウラジカフカスへ向かうが、現在旅行者が通行できるのかは不明。また、チェチェン共和国も直ぐ近くの場所なので、この村にも難民が流れ込んでいる。


b0049671_15414027.jpg
                                                 ツミンダ・サメバ教会:(カズベギ)
[PR]
by meiguanxi | 2007-09-01 15:46 | カフカス
<< パドゥム (ザンスカール) :... ワンラ村とワンラ・ゴンパ(ラダック) >>