カルシャ・ゴンパ (ザンスカール): ヒマラヤの天空に聳える伽藍
[ カシミール・ラダック略地図 ]
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                                                        カルシャ・ゴンパ全景

 ザンスカール最大のチベット仏教僧院であるカルシャ・ゴンパの伽藍群はカルシャの村よりも遥かに規模が大きいかに見える。所属する僧侶は200人、常住する僧だけでも数十人になるといわれ、岩山の急斜面にへばり付くように沢山の伽藍が上へ上へと連なっている。その壮観な景観は圧倒的で、6km離れたパドゥムからでもはっきりとそれと分かる。
 逆三角形をしたシュンの盆地北辺を西から東に流れるトゥ川が、盆地南角奥の谷から南東辺を流れてきたツァラプ川と盆地北辺東角で合流してザンスカール川になる。この合流地点の少し西、トゥ川北側の岩山に続く急勾配の扇状地にカルシャ村がある。扇状地の傾斜を登り切り、急峻な岩山に突き当たったところが村の中心で、パドゥムからの乗り合いジープが着く小さな広場だ。広場には数件だけだが小さな商店もある。


キャンプ地から見上げたカルシャ・ゴンパ               最上部ドゥカン・ヨクマ屋上からのドゥカン・ゴンマ
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 この広場から幅1mほどの登り路が付いている。その上り口にチャンバリンという小さなお堂がある。普段は鍵が掛けられていて村人に声を掛けて鍵を開けてもらう。すると正面が岩の山肌であることが分かる。良く見るとその壁面に大きな仏が彫られている。高さ8mもの磨崖仏だ。だが、彫りは非常に浅く、知らなければ気付かないほどだ。お堂はこの磨崖仏を覆うために11世紀に建てられた。カルシャ・ゴンパの創建は15世紀というが、このチャンバリンが基となって発展したのだそうだ。
 さて参道は今ではコンクリートで固められていて歩き易いとはいえ、その九十九折の勾配はきつい。息を切らせて5分から10分ほど、漸く最初のお堂であるラブランに着く。これはカルシャで最も古いお堂だそうで、大きなチューチグザル(千眼千手十一面観音)像と15世紀グゲ様式の見事な壁画が見られる。


ラブランの壁画
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 ここから先、沢山の僧房を擦り抜けて勾配は更にきつくなる。最上部のドゥカン・ヨクマとドゥカン・ゴンマという2つのお堂まで、麓から20分ほど掛かる。チベット暦5月28・29日(西洋暦7月)、このドゥカン・ヨクマの中庭で行われる祭りがカルシャ・グストルだ。2日間のチャム(仮面舞踏)は幻想的で神秘的だ。外国人観光客も訪れるがラダックのヘミス・ツェチュとは違いその数は僅かで、観客の多くはザンスカールの人々だ。


グストルのチャムが行われるドゥカン・ヨクマの中庭                ドゥカン・ヨクマからチャムを観る高僧
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 ドゥカン・ヨクマの中庭から階段が登っている。チャムの時にはこの階段が踊り手である僧侶たちの花道になるのだが、この上にドゥカン・ゴンマがある。このドゥカン・ゴンマの奥に小さな部屋があって、独立したお堂になっている。ゴンカンと呼ばれるもので、多くの古い仏像が祀られた暗い室内はおどろおどろしい雰囲気だ。夕刻、ここでは常住する数十人の層達が勤行する姿が見られる。狭い室内に入り切れない沢山の僧侶たちは、小さな入り口を隔てたドゥカン・ゴンマで読経する。


ゴンカンの入り口                                               ゴンカンで勤行する僧
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 勤行時は僧たちにとって食事の時間でもあり、ツァンパ(麦焦がし)とバター茶を若年の僧が配る。持参の器に注がれたバター茶でツァンパを練って食する。食後に注がれた茶で器を濯ぎ、それを飲み干し器を僧衣で拭く。その間も読経は続く。食事も修行の一環なのだ。
 この時には同席させてもらっている僕のような観光客にも、ツァンパ(麦焦がし)とバター茶またはチャイが振舞われる。塩味のバター茶を啜り、僧侶たちの音楽のような読経の波に身を任せる。無信仰者ではあるが、心が深く静まる時間だ。

※ カルシャ・ゴンパとチューチグザル・ゴンパを別サイトでフォト・アルバムにしました。合わせてご覧頂ければ幸いです。

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by meiguanxi | 2007-11-25 18:50 | ヒマラヤ・チベット | Comments(0)
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