チューチグザル・ゴンパ (ザンスカール): カルシャ村の尼僧院
[ カシミール・ラダック略地図 ]
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                                 チューチグザル・ゴンパ(手前)と対岸のカルシャ・ゴンパ

 インド西北部、ヒマラヤに抱かれたザンスカール地方の中心であるシュンという地域の盆地北辺、急峻な岩山にへばりつくようなカルシャ村。カルシャのゴンパ(チベット仏教僧院)といえば勿論カルシャ・ゴンパだが、この村にはもうひとつ素晴らしいゴンパがある。
 カルシャ・ゴンパを村の中心まで下り、狭い沢を渡って少し上り返すとキャンプ地。ここからカルシャ・ゴンパとは谷を挟んだ向かい側の岩山に登る。沢は細くとも谷は深い。岩山を標高差70mほど登るとチューチグザル・ゴンパという尼僧院がある。

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                                                          チューチグザル像

 建立はカルシャ・ゴンパよりも古い11世紀だという。本尊はチューチグザル(千眼千手十一面観音)像。正確に言うと千手ではなく、八臂だ。高さは6mもある。トーテンポールのように重なった十一面も壮観だが、背景の精緻なトーラナが素晴らしく華やかだ。トーラナとは一般にヒンディで門を指す言葉だが、チベット仏教ではこのような仏像の装飾を指すらしい。
 チューチグザル像が祀られた本堂であるドゥカン・ニンパではまた、これも見事な壁画を見ることができる。お堂の壁面が全て赤を基調にした壁画で埋め尽くされているのだ。これはカルシャ・ゴンパのラブランの物よりも古く、13世紀の作であるらしい。


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 ゴンパの伽藍群を更に少し登ると、古いチョルテン(仏塔)がある。ロツァヴァ・チョルテンと呼ばれるものだ。チョルテン内部の天井は何重にもなっている。このような構造と彩色はアルチ・チョスコル・ゴンパなどにも見られるものだが、このチョルテンの特質すべきは内部左右壁面に穿たれた棚に塑像が収められていることだ。小さいものではあるのだが、それを目の当たりにした時の驚きは相当のものだった。古の人々の仏へ帰依する想いは如何ばかりであったかと。


ロツァヴァ・チョルテンの天井                              ロツァヴァ・チョルテン内部壁面の塑像
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 2007年、NHK BS1 で放送されたフランスZED製作の 『テンジンとパルキット~ザンスカール高地の娘たち~』 (原題 : Becoming a Woman in Zanskar)という番組を、ご覧になっただろうか。パルキットという若い女性が親に反対されながらも尼僧になることを志すのだが、彼女を支えた伯母が所属していたのがこの尼僧院だ。
 麓から70mも高い岩山の上にある尼僧院だから、洗濯をするにも谷を中程まで下らなければならない。断崖の中腹に谷の奥の沢上流から引いてきた水路がある。飲用水もここから運び上げるのだ。夏場の風景は穏やかで緑も優しいが、ここは一年の三分の二は深い雪で外界から閉ざされる場所だ。厳しい生活だ。

※ カルシャ・ゴンパとチューチグザル・ゴンパを別サイトでフォト・アルバムにしました。合わせてご覧頂ければ幸いです。

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                                                        ロツァヴァ・チョルテン
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by meiguanxi | 2007-11-28 21:11 | ヒマラヤ・チベット
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