エルサレム#2(イスラエル):イエス=キリスト
[ 中東主要部略地図 ]
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                                                     聖墳墓教会(ゴルゴダ跡)
エルサレム#1:ヘブライ・イスラエル・ユダヤの続き)
                                                                オリーブの丘
b0049671_20281874.jpg紀元前1025年頃にできたヘブライ人初の国家
(ヘブライ王国)は前925年、イスラエル王国と
ユダ王国とに分裂する。その後、前722年に
イスラエル王国がアッシリアに、前586年に
ユダ王国が新バビロニアに滅ぼされる。
イスラエルの人々は離散して他民族に飲み込
まれ、ユダの人達はバビロンに強制移住させ
られる。彼等はその捕囚の中で、何時の日に
か救世主(メシア)が現れてユダヤを救い、
永遠の国が約束される筈だという宗教的信念
を強めていくことになる。

前539年、新バビロニアは勢力を急速に伸ば
してきたアケメネス朝のペルシャ帝国に滅ぼ
される。そして前537年、ユダヤ人達はカナン                               マグダラのマリア教会b0049671_2029735.jpg
(パレスチナ)に戻ることを許される。
前332年には支配者はギリシャに移る。
アレクサンダーの時代だ。宗教やローカル
文化には比較的寛大だったペルシャに比し、
ギリシャの締め付けは厳しいものだった。
その為、叛乱を起こしたユダヤは前164年、
一旦は独立を勝ち取る。だが、前60年、
今度はローマによってまたも占領される。

相次ぐ民族の苦難、ローマ支配下で腐敗する
王侯貴族の治世、パリサイ人の独善、精神的
荒廃。そんな時代を背景に、バプテスマの
ヨハネが現れる。彼はユダヤの悲運は唯一神
への信仰の荒廃によるのであり、悔い改めな
ければ神の怒りをかうだろうと予言する。                                      ゼッセマネ教会
b0049671_20294423.jpg前4年頃に生まれたとされるイエスは、彼の
弟子と成り、洗礼を受ける。

キリストとは元々はメシアに相当するギリシャ
語のクリストス(油を注がれし者)であり、
彼が自ら神の子としてメシアを名乗ったことに
由来する。イエスはヨシュア(神は救い給う)
がラテン語化したもの。
彼はエルサレム近郊のベツレヘムで生まれた
ということになっているが、史的確証は薄い。
旧約聖書によれば、メシアはヘブライ王国の
ダビデ王(ヘブライ12支族のうちユダ族)の
子孫にベツレヘムで現れると予言されている。

イエスの墓(聖墳墓教会)             マリアとヨセフの故郷であるガリラヤ(イスラエル北部)で伝道を
b0049671_20302044.jpg 始めた彼の教えは、一種の宗教改革であった。ユダヤの選民主義
 (民族主義)、律法主義、そして現世主義を否定し、地上での権力
 や富は虚しいものであり、人は神の下には平等であり、律法に
 よってではなく神への愛によって救われるのだと説いた。
 この教えは虐げられた者、貧しき者達に大いに共感を呼ぶ。
 数々の奇跡を起こしたという噂も、その求心力の助けとなった。
 しかしそれは一方でユダヤの支配層にとって異端であるばかりか、
 ローマにとっては反逆者の思想に他ならない。伝道開始から僅か
 2年、彼は捕らえられる。有罪を言い渡された彼は、自らが貼り付
 けられる十字架を背負わされ、エルサレムの町を歩き、ゴルゴダの
 丘で処刑される。紀元30年のことだ。
 キリスト教という宗教は、彼の死後、ペテロ等使徒がイエスの教え
 を伝道することで成立したものだ。

 この40年後、紀元66年に叛乱を起こしたユダヤは70年、ローマに
 よって滅ぼされる。バビロン捕囚後に再建された神殿は完全に
 破壊される。その外壁跡こそが、今日のユダヤ人達の精神的拠り
 所ある「嘆きの壁」だ。その後、135年再び叛乱が失敗し、ユダヤ
 人達は完全に離散し、パレスチナでは極少数派となる。

4世紀初頭、コンスタンティヌス帝のローマ帝国                 最後の晩餐が行われたとされる館(右手2階)
b0049671_20305520.jpgはキリスト教を国教に定める。ローマ帝国の
首都がビザンチウム(コンスタンティノポリス:
後のイスタンブール)に移されたのと相前後
する時代だ。こうなると逆に、イエスをメシア
だとは認めないユダヤ教こそが異端になる。
これにより、以後キリスト教化したヨーロッパ
に於ける、ユダヤ人達の迫害の歴史が決定
付けられた。
今日のエルサレム旧市街には、イエスが十字
架を背負って歩いたとされる路、ヴィア・ドロロ
ーサが残されており、死刑判決を受けた総督
官邸からゴルゴダ跡に建てられたとされる
聖墳墓教会まで、新約聖書のエピソードに
沿った14のステーションが設けられている。

エルサレム#3:イスラームに続く)                               (↓)聖墳墓教会内のミサ
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by meiguanxi | 2004-10-31 20:02 | 中東・北アフリカ
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