[ 中東主要部略地図 ]
(エルサレム#1:ヘブライ・イスラエル・ユダヤの続き) オリーブの丘 紀元前1025年頃にできたヘブライ人初の国家 (ヘブライ王国)は前925年、イスラエル王国と ユダ王国とに分裂する。その後、前722年に イスラエル王国がアッシリアに、前586年に ユダ王国が新バビロニアに滅ぼされる。 イスラエルの人々は離散して他民族に飲み込 まれ、ユダの人達はバビロンに強制移住させ られる。彼等はその捕囚の中で、何時の日に か救世主(メシア)が現れてユダヤを救い、 永遠の国が約束される筈だという宗教的信念 を強めていくことになる。 前539年、新バビロニアは勢力を急速に伸ば してきたアケメネス朝のペルシャ帝国に滅ぼ される。そして前537年、ユダヤ人達はカナン マグダラのマリア教会 (パレスチナ)に戻ることを許される。 前332年には支配者はギリシャに移る。 アレクサンダーの時代だ。宗教やローカル 文化には比較的寛大だったペルシャに比し、 ギリシャの締め付けは厳しいものだった。 その為、叛乱を起こしたユダヤは前164年、 一旦は独立を勝ち取る。だが、前60年、 今度はローマによってまたも占領される。 相次ぐ民族の苦難、ローマ支配下で腐敗する 王侯貴族の治世、パリサイ人の独善、精神的 荒廃。そんな時代を背景に、バプテスマの ヨハネが現れる。彼はユダヤの悲運は唯一神 への信仰の荒廃によるのであり、悔い改めな ければ神の怒りをかうだろうと予言する。 ゼッセマネ教会 前4年頃に生まれたとされるイエスは、彼の 弟子と成り、洗礼を受ける。 キリストとは元々はメシアに相当するギリシャ 語のクリストス(油を注がれし者)であり、 彼が自ら神の子としてメシアを名乗ったことに 由来する。イエスはヨシュア(神は救い給う) がラテン語化したもの。 彼はエルサレム近郊のベツレヘムで生まれた ということになっているが、史的確証は薄い。 旧約聖書によれば、メシアはヘブライ王国の ダビデ王(ヘブライ12支族のうちユダ族)の 子孫にベツレヘムで現れると予言されている。 イエスの墓(聖墳墓教会) マリアとヨセフの故郷であるガリラヤ(イスラエル北部)で伝道を 始めた彼の教えは、一種の宗教改革であった。ユダヤの選民主義 (民族主義)、律法主義、そして現世主義を否定し、地上での権力 や富は虚しいものであり、人は神の下には平等であり、律法に よってではなく神への愛によって救われるのだと説いた。 この教えは虐げられた者、貧しき者達に大いに共感を呼ぶ。 数々の奇跡を起こしたという噂も、その求心力の助けとなった。 しかしそれは一方でユダヤの支配層にとって異端であるばかりか、 ローマにとっては反逆者の思想に他ならない。伝道開始から僅か 2年、彼は捕らえられる。有罪を言い渡された彼は、自らが貼り付 けられる十字架を背負わされ、エルサレムの町を歩き、ゴルゴダの 丘で処刑される。紀元30年のことだ。 キリスト教という宗教は、彼の死後、ペテロ等使徒がイエスの教え を伝道することで成立したものだ。 この40年後、紀元66年に叛乱を起こしたユダヤは70年、ローマに よって滅ぼされる。バビロン捕囚後に再建された神殿は完全に 破壊される。その外壁跡こそが、今日のユダヤ人達の精神的拠り 所ある「嘆きの壁」だ。その後、135年再び叛乱が失敗し、ユダヤ 人達は完全に離散し、パレスチナでは極少数派となる。 4世紀初頭、コンスタンティヌス帝のローマ帝国 最後の晩餐が行われたとされる館(右手2階) はキリスト教を国教に定める。ローマ帝国の 首都がビザンチウム(コンスタンティノポリス: 後のイスタンブール)に移されたのと相前後 する時代だ。こうなると逆に、イエスをメシア だとは認めないユダヤ教こそが異端になる。 これにより、以後キリスト教化したヨーロッパ に於ける、ユダヤ人達の迫害の歴史が決定 付けられた。 今日のエルサレム旧市街には、イエスが十字 架を背負って歩いたとされる路、ヴィア・ドロロ ーサが残されており、死刑判決を受けた総督 官邸からゴルゴダ跡に建てられたとされる 聖墳墓教会まで、新約聖書のエピソードに 沿った14のステーションが設けられている。 (エルサレム#3:イスラームに続く) (↓)聖墳墓教会内のミサ
by meiguanxi
| 2004-10-31 20:02
| 中東・北アフリカ
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Comments(2)
Commented
by
tripper0512
at 2006-09-23 13:08
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コメント&TBありがとうございます。聖墳墓教会内部は、何がなんだかわかりませんでした。没関係さんのblogは、ユダヤの歴史が端的にまとまっていて勉強になります。
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Commented
by
meiguanxi at 2006-09-24 01:35
ご丁寧にどうも。そちらのコメント仕様が分らず二重にコメントしてしまいました、ごめんなさい。写真が撮り損なった第10留のリンクに成れば幸いです。
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by meiguanxi
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