[ 雲南省略地図 ]
瑞麗(ルィリ)から西に30kmほどで中国領のどん詰まりに着く。弄島(ノンタオ)はほんの小さな村だが、 村はずれの川はビルマとのボーダに成っていてイミグレーションもちゃんとある。 ただ、この瑞麗周辺のビルマ国境は第三国人には何れも開かれていない。そもそもビルマはどの国との国境も第三国人には開放していず、観光目的の入国は空路に限られている。情勢によっては国境を接した町に1日だけ入国できるボーダもあるが、陸路移動可能な他の町からそれら国境の町への交通手段は開放されていない。周囲に反政府ゲリラがいるというのも、その理由のひとつではあるようだ。 メインストリート(ビルマから弄島の街子へ来た人々) 弄島では5日に1度、5と10の付く日に街子(ガイヅ:定期市)が開かれる。この日はのどかで静かな小さな村に、ビルマ側から沢山の人達が農作物を売りに、そして洋服や日用品の買い出しにやって来て賑わう。この辺りはビルマのシャン州に接しているので、居地がどちらの国であろうと住民の多くはタイ族系の人達なのだろう。他に景颇族(ジンポー族:カチン族)やその他の少数民族もいるのかもしれないが、一見ではそれと分かる民族衣装は見られない。簡単な屋台も出て、街子はこの辺りの人々にとって売買の必要だけではなく社交の場でもあるのかもしれない。 ところがそんなのどかな村の風景も今や大きく変貌しようとしているようなのだ。中国への木材輸入の最前線となっているのだそうで、そのことがビルマ北部の森林破壊を深刻なものにしているという。今や森林保護には熱心でもある中国だが、経済発展に伴う木材需要の為に周辺国の森林伐採が進められているとした、少し憂鬱な話だ。熱帯雨林は一度無謀な伐採をしてしまうと、土壌が流れてしまい再生しない。雲南省は概ね山岳地帯だが、嘗ての伐採によって赤土が剥き出しになった禿山の連なりもそのひとつの姿なのだ。 さて写真とも弄島とも関係がない、瑞麗での話し。町にパキスタン人が経営するオープンエアのカフェがある。といっても要するに扉のない飯屋だ。ある日、表通りに面したその店で、僕はコーヒーを飲んでいた。すると天秤棒に籠をぶら下げた麦藁帽子のおっさんがやって来て、女将に声を掛ける。出てきた女将は親しげに声を交わすと、地べたに置かれた籠の蓋を取って中を覗き込む。ひよこの鳴き声だ。ウズラか何かのようだ。彼女が指差すと、男は一匹の雛を取り出し、いきなりコンクリートの歩道に叩き付けた。雛は痙攣している。女将は次の一匹を指差す。そうして7・8羽の雛が叩き付けられた。 次に男はその中でまだ一番活きの残った一羽を拾い上げる。止めを刺すんだなと思ったが、彼は雛の首に爪を立てると、素手で皮を剥いだのだ。それは残酷でもなんでもなく、実に簡単で、あっけない光景だった。食というのは本来そういうものなのだろう。
by meiguanxi
| 2007-12-08 16:07
| 雲南省と少数民族
|
Comments(4)
Commented
by
gogoasia at 2007-12-09 15:43
あーいいですねー。
風景はもう南国ですね。 実は昆明にいる時、ルイリー経由でミャンマー ラシオに抜ける手配旅行が可能と聞いて心が 動いたのですが、結構高額だったのと、ヤンゴン 政権の関与度が高そうだったので断念しました。 これからも楽しみにしています!!
0
Commented
by
meiguanxi at 2007-12-09 18:44
この日は街子だったので賑わってますが、普段はな~んにも無いのんびりした南国の田舎だと思います。もっともこれは99年のことなので、今はどうなっているのか…
ラーショーへの手配旅行、復活したんですか? 外国人も利用できるのでしょうか? そこまで行けばビルマ国内も陸路移動できますものね。それにしても、軍事独裁政権、早くなんとかしてほしいものです。
市の日はこんなに賑やかになるんですね、知りませんでした。
私がここに行ったのはたしか93年。そのへんの川を渡ってミャンマーに行けるって聞いてたので、行ってみようかなと歩いていたら兵隊が2人すごい勢いで自転車で追いかけてきましたよ! 自転車で、ってところが何とものどかですけどね。 「人人止歩」って看板を無視していたわけだけど、言葉できないふりして見逃してもらいましたが、夫は私が彼の影に隠れたことを今も根に持っており、将来離婚するとしたらこれも原因の一つになること間違いなし、です(笑)
Commented
by
meiguanxi at 2007-12-11 19:03
えっ!? ロバさんを弾除けにしたんですか^^
93年かぁ…何月か分かりませんが、僕はその年、チベットにいたのでした。あの頃はビルマだのラオだのに密越境したとか強制送還されたとか、そんな話をよく聞いたなぁ。 離婚されないようにメールや電話はマメにしましょう!
|
by meiguanxi
カテゴリ
・・・・・・・・・・・・・・ サイトマップ ・・・・・・・・・・・・・・ Free TIBET ・・・・・・・・・・・・・・ 絲綢之路Ⅰ[西域] 絲綢之路Ⅱ[中央亜] 絲綢之路Ⅲ[西亜] ヒマラヤ・チベット インド・パキスタン カフカス 中東・北アフリカ メコン流域 ヨーロッパ 中国 雲南省と少数民族 ・・・・・・・・・・・・・・ non-category ・・・・・・・・・・・・・・ 地図&日程 ・・・・・・・・・・・・・・ photo album ・・・・・・・・・・・・・・ Air Mail ・・・・・・・・・・・・・・ 愛する者へ or Profile ・・・・・・・・・・・・・・ BBS 掲示板 検索
フォロー中のブログ
外部リンク
Vaya con Dios
ことのは 軽井沢森暮らし日記 HABU's Guest House Luntaの小さい旅、大きい旅 文系ネットワーク屋のぼやき むとうすブログ Skyhook's Den 蛞蝓橋奇譚 TIBET movie スライド・ショー 最新のコメント
その他のジャンル
|
ファン申請 |
||