エヴェレスト・ベースキャンプとクーンブ氷河(ネパール)
[ エヴェレスト方面略地図 ] [ 日程表 ]
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                                                   クーンブ氷河上から振り返る


 ネパール側のエヴェレスト(エベレスト)・ベースキャンプは、アイスフォールと呼ばれる氷瀑(氷河の滝)がクーンブ谷に下り切り、南西に90度方向を変える氷河上の角にある。
                                    リンクした地図を見ながら聞いてほしいのだが、ペリチェからチ
氷河上からのロ・ラとチャンツェ               ョラ・コーラという川沿いの広い谷を進むか、或いはイムジャ氷河
b0049671_20125966.jpg方面への基点であるディンボチェからチョラ・コーラ脇の標高差100mほどの断崖の上の棚地を進んで、トゥクラという所で直角に右方向に進路を変えると標高差350mほどのガラ場を登ることになる。これがクーンブ氷河舌端のモレーンだ。上り切るとそこには沢山のケルンが積まれている。エヴェレスト登頂で遭難したシェルパたちの慰霊碑だ。その数は50を超えるという。ここからは広いアブレーションバレーを進むことになる。実際のトレッキングではロブチェという標高4887mのロッジ村で1泊し、翌日更に進んでサイドモレーンに登り、クーンブ氷河に左手から合流するチャングリ氷河を横断して対岸のモレーンを越えればゴラクシェプ(5150m)に着く。ここまで6km以上氷河沿いに進むことになるが、アブレーションバレーはなだらかで歩き易い。ゴラクシェプはエヴェレストの最高のビューポイントであるカラパタール(5545m)への拠点になるロッジ村で、石積みのロッジが2軒(1999年当時)。カラパタールまでは1時間半から3時間程の急峻な登りだ。
 さて、アブレーションバレーはゴラクシェプの先にあるエメラルド・グリーンの小さな池のあるカルカで終点になる。ここからは氷河上を歩くことになる。ゴラクシェプからベースキャンプまでは直線距離で3km少しでしかないが、氷柱をすり抜けクレバスを迂回して進む足場は危うく、クレバスを隠した積雪や土砂、浮石などかそこここにある。ガイド・ブックにはガイド無しでも行けると書いてあったりするが、素人には必ずしも安全なルートではない。コンディションにもよると思うが、実際に僕が下流の村で別々に出会った2人の青年は氷河上で恐怖の為に前進を諦めたと言っていた。懸命な判断だ。氷河の上などという所は素人が単独で歩くべき場所ではない。往路で3時間、ベースキャンプでの休憩を含めず5時間から6時間の往復になる。


ゴラクシェプ先の池                                              氷河上からのヌプツェ
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氷河上から振り返るタウツェとチョラツェ                                    B.C.からのプモリ
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 ベースキャンプの標高は5357m。ここはクーンブ谷の突き当たりで、その先はチベット側との国境を成す切り立った稜線によって遮られている。エヴェレストからの北西稜は眼前のロ・ラを通りクーンブツェ(6640m)とリントレン(6697m)という刃物のように切り立った荒々しいピークを経て、女性的な丸みを持つピークのプモリ(7161m)へと続いている。エヴェレストの花嫁とも呼ばれる山だ。


B.C.手前からのクーンブツェ(右)とリントレン                            B.C.から見上げるロ・ラ
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 ここからは道々見えていたチベット側のチャンツェ(7553m)は見えない。眼前は巨大な衝立のようなロ・ラ(ロ峠:6006m)が覆いかぶさるように塞いでいる。ロ・ラの向こう側はチベット側ベースキャンプがあるロンブク谷だ。ロンブク側B.C.がエヴェレスト山頂までの水平直線距離(地図上の平面的直線距離)で20kmほどの所にあるのに対し、クーンブ側は7kmほどと圧倒的に近い。
 だがそれだけにむしろエヴェレスト山頂もまた見えない。荒々しいアイスフォールが激しく流れ下っている様が眼前に迫る。エヴェレスト(8848m)、ローツェ(8510m)、ヌプツェ(7855m)、そしてそれらの稜線が囲む巨大な袋のような氷原(ウエスタンクーン)から下る氷の瀑布だ。これを登山家たちはローツェとの稜線上の鞍部であるサウスコル(7986m)目指して登って行く訳だが、僕のような凡人の目にはどう見ても人間の力の及ぶ場所とは思えない。下の写真では大きさや距離感が伝わらないが、仮に人が写っていたのならピンホールにしか見えない程のスケールなのだ。そこは氷と風が支配する圧倒的な世界だ。

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                                                B.C.から見上げるアイスフォール
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by meiguanxi | 2008-02-15 20:02 | ヒマラヤ・チベット | Comments(4)
Commented by gogoasia at 2008-02-15 20:33
おおお!!素晴らしい!!

チベット側のロンブクゴンパ付近から
見たエベレストを思い出します。

旅行会社の怠慢(多分確信犯)でBCには
行けませんでしたが。。。

近づき過ぎると見えないというのは
皮肉ですね。

また行きたくなってきました。
Commented by meiguanxi at 2008-02-16 21:13
ロンブク寺からベースキャンプまでは歩いても1時間半程度なのに、残念でしたね。「旅行会社の怠慢」…僕はヤク・ホテルの庭に何時も遊びに来ていたタシデレ・レストラン(だったかな?てか、そんなもん今もあるのかな^^A;)の女将さんの紹介でドライバーを見つけたんですけど、今の旅行事情は全然違っているのかなぁ・・・
そうなんです。クーンブ側B.Cから山頂は見えないんです。途中のモレーンから1ヶ所だけ頭が見えるんですけどね。前の記事にカラパタールからの写真を載せたんですけど、ロンブク谷からとは随分違う姿でしょ~
Commented by habu001 at 2008-02-18 15:37
チャンツェに黄色い帯が見えているのは、これ、チョモルンマのイエローバンドと同じ地層ですよね?
Commented by meiguanxi at 2008-02-19 19:38
どうなんでしょ? 標高には随分違いがあるのですが、確かにエヴェレストのイエローバンドは北側に大きく傾いてますよね。同じような地層はイムジャ谷から見たローツェからヌプツェに到る大壁面にも見られるんです。NASA の衛星写真を見るとローツェやヌプツェとエヴェレストは間違いなく嘗てひとつの山だったのだろうなと感じます。これにチャンツェが含まれていても不思議ではない。嘗ては15000mの高さがあったという研究もあるようです。そうだとすると嘗て海底であったイエローバンドの上に更に7000mの堆積があったということですよね。なんだかヒマラヤ造山すら短期間のことに過ぎないという時間のスパンを考えると、頭がクラクラしちゃいます。
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