ロサンジェルス以来すっかり形骸化してしまい、いったい誰のための何を目的にしたイベントなのか分からなくなってしまった北京五輪の聖火リレー。昨日(2008.4.17)は一つの “山” とも目されていたインドで行われた。ご存知の通りインドにはチベット亡命政府があり10万人の亡命チベット人が暮らしている。日本の報道では 「大きな混乱も無く」云々と報道された。イスラマバード(パキスタン)にせよデリー(インド)にせよ完全に隔離された場所で、厳戒態勢の警備で行われているのだ。「大きな混乱も無く」…やれやれ、日本のマスコミは聖火への抗議活動をする者達がロケット弾でも打ち込むとでも思っているのだろうか。あのような態勢での形式的リレーを報道するのに、その形容には何か意味があるのだろうか。もしあるとすれば人民日報やCCTV (中国中央電視台)がそのように伝えるのだろう意図と同じでしかないのではないか。 一方、チベット問題に関する日本政府の態度は相変わらず曖昧なものだ。昨日、高村正彦外相が来日中の楊潔篪(yang jiechi)外相に申し入れをしたそうだが、「更に透明性を確保してほしい。対話が重要だ。対話の姿勢を打ち出してほしい」(MSN産経ニュース)といった御座なりなものでしかなかった。訪中中の自民・公明の幹事長が同様な内容の首相からの新書を胡錦濤(hu jintao)国家主席に手渡したそうだが、「善意の提言と思う」 「親書をいただき、中日関係の発展を重視する首相の態度に感銘を受けている」(公明新聞H.P.)と感謝される始末だ。「言わなきゃならない立場なのでその辺は受け流してね」という話が出来ていた上でのデモンストレーションなのだろう。公明党の北側一雄幹事長に至っては 「(チベット問題での)胡主席の話はよく理解した。日本国民にもよく伝えたい」(同上) と中国政府のスポークスマン役を買って出るかのようなことを伝えている。また、長野市長はインタビューに応えて 「(聖火リレーが)平穏無事に終わることをただただ願うばかりです」 と話している。オリンピック競技は政治と切り離して考えるべきだとしても、少なくとも今回の聖火リレーに関してはもはや政治とは切り離せないものになっていることは、世界中が認識するところだ。この折、上のような発言は本人の意図がどうあれ、それ自体が既に中国政府の意図に沿った政治的発言になってしまうのだという程度の政治感覚は持っていてしかるべきだと思うのだが。 ところでロンドン、パリ、ロサンジェルスと続いたリレーに関しては 「日に日に妨害行為が拡大している」云々、「暴力は宜しくない」 云々といった論調で伝えられていた。だが果たしてそれは本当だっただろうか。確かにロンドンではトーチを奪おうとした男を1人見た。ペットボトルの水を掛けようとした男と消火器を噴きつけた男がいた。パリでは車椅子の中国人アスリートからトーチを奪おうとした男がいたようだ(これに関してはその男が誰であったのかについて疑問の声もある)。ブエノスアイレス(アルゼンチン)では水風船が投げられた。さて、皆さんはこれ以外の 「暴力的妨害行為」 を目にしただろうか。確かにアテネやロンドン・パリで道にダイ・インした女性や座り込んだ女性たちがいたし聖火隊の前をチベット国旗を持って走った男が警察に組み倒された。その他にもコースに入ろうとした人は大勢いたのかもしれない。それらは例えば日本では威力業務妨害に当たる可能性はあるにしろ、決して暴力行為と言えるようなものではない。もし他に無かったのだとしたら、それは 「日に日に拡大」 したと言える推移だろうか。ロサンジェルスではそもそも誰もいない高速道路のような場所を走ったのだ。 抗議行動と妨害行動、まして暴力とを混同するこのような報道の賜物として、長野市民の間では不安が助長されたようだ。休日登校日だった高校は休校を決め、善光寺参道の商店からは 「暴動とかが起こると嫌だ」 といった声まで聞かれる。暴動? やれやれ…これまでの抗議行動でそれに近いことが起こっているだろうか。いや、勿論そう発言した人を責められない。抗議活動が各国で起こっている理由、チベット問題の本質を伝えることをこちらも御座なりにしたまま、「長野は大丈夫か」 「無事にできるのか」 と不安を煽る報道ばかりが連日垂れ流されてきたのだから。 ところがだ、ここに来てそれも杞憂とばかりは言えなくなってきた感もある。もちろん抗議活動が暴徒化するなどと思うのはナンセンスだが、ある種の小競合いのようなものが起きてしまう可能性は否定できない状況になってきているように思われる。各国の在外中国人サポーターたちの動向だ。いや、彼らが暴力的な行動をしようとしているなどというデマを流す積りではない。彼らの目的としても平和裡にリレーを成功させることの筈だ。だが、衝突というのは双方にその気が無くとも起こり得るものだ。例えば中国人サポーター達が聖火を守るという目的で沿道の前列を占領する形になったとする。一般の見物客も抗議をする者もその後ろに退けられる形だ。見物客は不満を抱くだろうし抗議する者は前へ出ようとするだろう。…キャンベラ(オーストラリア)では1万人の中国人サポーターが結集する勢いだという。長野にも2000人を集めると言われている。 当初、この問題に於ける中国国内での反欧米ナショナリズムは十分な情報が与えられていない為だと思われた。だが、実際には在外の留学生や華僑までもがそういったナショナリズムの波に乗っているようだ。彼らの気持ちも理解できない訳ではない。なにしろ世界中から非難の声を浴びせられているのだから。だが、おそらくそうしたナショナリズムは建設的な何物をも産み出さない。むしろ逆効果だ。彼らに理解して貰いたいことは、チベット問題での抗議は中国人にではなくあくまで中国政府に対して行われているのだということだ。だが、中国国内ばかりでなく在外中国人もナショナリズムに走るなら、その姿は諸外国の人々の反感を増徴させてしまう結果になるだろう。 実はこのエントリーは4月15日夜にUPされたものなのだが、17日までは写真と各サイトへのリンク以外には 「本日は写真のみということで、文章は後日」 と期されていただけだった。16日、早くもコメントが付いてしまったのだが、実は元々このエントリーでは長野を前にしたマスコミの報道と中国人のナショナリズムについて書こうと思っていたのだ。コメントをくれた方には本文が後出しジャンケンのような形になってしまって申し訳ないのだが、本当のところ、後者に関してはそのコメントをくれたような中国の方にこそ訴えたかったのだ。チベットの問題への世界の批判は中国人叩きではないのだということ、そしてこの問題は中国人自身の人権と自由とに繋がる筈の問題であるのだと。また嘗て日本軍によって侵略され満州を占領されたあなたたち中国人には、きっとチベット人のことが理解できる筈だと。だから本当なら西欧で抗議行動をする人達や僕と、貴方たちは対立ではなくむしろ共闘できる筈なのだと。 上の写真は4月13日、季節外れの冷たい風が吹き抜ける東京渋谷で行われたキャンドル・マーチ。今回の騒乱で亡くなった人々を痛み一日も早く問題解決への道が開かれるようにとの願いから、普通のデモの形式ではなくそれぞれキャンドルを手にアメリカの黒人解放歌であり公民権運動で唄われた 『We shall overcome』 を唄いながら行進したものだ。下の写真は行進の後、代々木公園で行われたキャンドル・ライティングの様子。一般メディアではあまり大きくは扱われなかったかもしれないが、参加者はマーチに300人、ライティングに150人といったところだろうか。 チベット人たちがチベットの未来を自らの手で決められる日が一日も早く訪れるように 中国と中国人たちが本当の意味で世界から尊敬される時が何時の日か訪れるように 願わくは、日本と日本人も… 2008.4.18 チベットの為のキャンドル・ライティング 2008.4.13 東京・代々木公園 TSNJ (TIBET SUPPORT NETWORK JAPAN) TSNJ blog アムネスティ・インターナショナル日本 SFT (Students for a Free TIBET) Avaaz.org ダライ・ラマ法王日本代表部事務所 (※ 諸々の責任は負いかねますので、あくまで自己責任でお願いします)
by meiguanxi
| 2008-04-15 21:09
| Free TIBET
|
Comments(41)
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暴力宗教反対
at 2008-04-16 15:04
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ダライ・ラマというのは清の皇帝が命名した無数のチベット宗教の中、大きな4つの派閥の一つ、黄教のトップ僧侶の位です。「チベットの最高宗教・・・」云々というこそ、他の流派と宗教の弾圧です。ちなみに教義が一番残酷な宗教で、オームの手本、ポアという言葉の元で、ダライ・ラマの一番弟子は松本教祖という事実、決して忘れてはなりません。
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なるほど、某国ではそのように歴史を教えておられるのですね。いやはや参考になりました。
もちろん暴力宗教反対さまは ダライ・ラマのダライがモンゴル語で、満州族の清朝とは無関係(まして漢族とは尚更無関係)であること、 黄教という言葉は(たぶん中国の学者が作った呼称でしょうが)日本では使わなくなり、チベット仏教というのが一般的であること、 ダライ・ラマ法王はオームとは一切関係なく、法王が何も知らずに接触してしまった事実をオーム側が宣伝に利用している事をむしろ迷惑がっていること等は、ご存知でしょうね。 それから、「チベットの最高宗教」だなんて初耳ですが、言うだけなら弾圧には値しません。日本こそ世界一素晴らしい世界最高の国だ!と言ったところで、中国を弾圧したことになりますか?アメリカを弾圧したことになりますか? 以上、没さんゴメンナサイ。 差し出がましく有閑貧乏人がレスりました。 あ、付け足しとして、日本語お上手ですね!
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meiguanxi at 2008-04-16 22:06
「暴力宗教反対」さん、少し長くなりますが、ちゃんと書くので読んでくださいね。
文章は正確にした方が良いと思うので書き直しますが、 「ダライ・ラマというのは無数のチベット宗教の中(の)、大きな4つの派閥の一つ、黄教のトップ僧侶の(に)清の皇帝が命名した位です」という意味ですよね?「清の皇帝がチベット仏教各派を命名した」という意味ではなく、「黄教のトップに与えた名称」ということですよね? (↓)
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meiguanxi at 2008-04-16 22:06
さて、「ダライ・ラマ」という称号は確かに他民族王朝が授けたものではあるけれど、残念ながらそれは満州族の建てた清朝によるのではなく、モンゴルのアルタン・ハーンです。後にその前に2人の転生がいたとされたので、この時にダライ・ラマを名乗ったソナム・ギャツォは3世とされます。彼が亡くなったのは1588年ですから清朝ができる数十年前です。ダライ・ラマが政治宗教両面でチベットの最高指導者という立場に成ったのは5世であるロサン・ギャツォの時代(1642年)で、この時に後ろ盾になったものモンゴルのグーシ・ハーン王朝であり、逆に5世はグーシ・ハーンに「護教王」という称号を与えています。これは確かに清朝設立と前後しますが、実際に清朝に影響を受けることになるのは18世に前半になってからです。 (↓)
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meiguanxi at 2008-04-16 22:07
またダライ・ラマは仰る通りゲルク派の最高指導者ですが、5世の時代以後、実際問題としてチベット全宗派の人々から最高指導者として迎えられています。勿論、この過程では色々なことがあったのでしょう。各国・各民族・各地域の歴史はそれぞれに決して美しいことだけではない。実際、チベット各宗派はそれぞれが本拠地とした地域の王朝などの思惑と無縁だった訳ではないでしょう。いずれにせよ仮に宗派間の主導争いがあったにしても数百年前の話です。5世が政治宗教両面で最高指導者に成って以後400数十年が経ちますが、カギュ派・ニンマ派・サキャ派などの宗派は現在尚、広く活動しています。チベット(自治区だけでなく現在中国が青海省・甘粛省・四川省・雲南省に分割してしまっている地域、或いはインドやネパールのチベット文化圏でも良い)に行ったことがありますか?僕が実際に会って話をした限りではどの宗派の人々も皆、ダライ・ラマに敬愛を寄せているのが現実です。 (↓)
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meiguanxi at 2008-04-16 22:07
さて、松本智津夫についてですが、ダライ・ラマは要請があれば誰とでも会います。条件さえ整えば貴方や私にも会うことが可能です。14世が松本某に会ったのはオウム真理教がまだ有名になる前のことですが、この松本某は実に様々な有名人たちと会い、その時の写真をひけらかしていました。カルトが何かの権威を利用しようとすることは常です。もし本気で「ダライ・ラマの一番弟子は松本教祖」とか「(チベット仏教は)教義が一番残酷な宗教で、オームの手本、ポアという言葉の元」だなどと思っていらっしゃるのなら、世界の人々から笑い者にならない為にもう少し客観的な資料を勉強なされることをお勧めします。この類のデマゴギーは自らを貶めるだけで、全く逆効果であることをご理解くださるなら、貴方の為にも僕の為にもチベットの為にも中国の為にも幸いです。 (↓)
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meiguanxi at 2008-04-16 22:08
ところで、最初に文章の曖昧さを指摘させてもらったのですが、その他にも助詞の使い方の特徴から察するに、貴方は中国の方ですよね?この記事には4月16日夕刻現在、文章が添えられていないので申し訳ないのですが、他の記事や、とりわけ前の記事でのコメント欄での遣り取りを是非ご覧下さい。私は決して反中国・嫌中国派ではありません。僕のハンドル・ネームを見てください。中国語です。コメントを下さる多くの方もまた、チベットと共に中国の将来をも心配している。確かにこの期に乗じて中国叩きをしたい右派の人々の声が大きいのは事実ですが、欧州を見て下さい。むしろ左派の人々の批判が主体です。 (↓)
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meiguanxi at 2008-04-16 22:09
そうですね、確かに中国の方にすれば面白くないでしょうね。世界中から批判の声を浴びせられているのだから。ですが、少なくとも日本語をこれほど上手に使える貴方は中国の中でもそれなりのインテリジェンスを備えているのだと思います。どうか、ナショナリズムではなく、インテリジェンスで物を見、考えてください。この問題に真摯に向き合う中国人を、世界は絶賛の拍手で迎えるでしょう。中国政府にしても同じです。今の政府の姿勢は全く逆効果です。むしろ諸外国の人々の感情的な「中国嫌い」を助長してしまうだけです。もし亡命政府との現実的な交渉のテーブルに付くなら、その時こそ中国は世界から尊敬される国になる第一歩なのです。そして同時にそれは、中国人自身の人権と自由の問題への一歩にも繋がってる筈です。日本によって満州を支配された経験のある中国人になら、きっとチベットの人々のことを理解できる筈だと願っています。
最後まで読んでくれたのなら、多謝您。
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meiguanxi at 2008-04-16 22:10
はぶさん、<暴力宗教反対>さんが
「『(ダライ・ラマが)チベットの最高宗教(指導者)』云々というこそ、他の流派と宗教の弾圧です」 と言ってしまうのは、チベットとチベット人の実情を見たことがないからだと思います。おろらくゲルク派が他派を抑圧しているのだと思っているのでしょう。或いはそのようなデマゴギーしか情報を持たなかったのかもしれません。悲しいことです。
没さん、改めてゴメンなさいね。文章がつくまでコメント控えるつもりだったけど、我慢できませんでした。火に油そそいじゃったかな?
彼に限らず、中国人の殆どがチベット人の実情なんて知らないと思います。ただ「汚い」だとか「野蛮」だとか定型化されたイメージだけで、もともと関心もなかったでしょう。本来なら彼らにこそ知ってもらいたいし、そのことで中国政府を良い方向へ押し流してほしいのだけど。 「暴力宗教反対」さんがある種の「工作員」でないことを願います。
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meiguanxi at 2008-04-18 12:17
はぶさん、文章を初めから付けておかなかった僕の責任でもあると思います。
上海にはウイグル人が随分出稼ぎに来てるでしょ?上海人は彼らを嫌ったり怖がったりしてるんだって。実際、犯罪に走る人も少なからずいるのだろうからね。でもその件で上海在住の中国人と、僕が前にやっていたブログのコメント欄で話をしたんだけど、ちゃんと理解してくれた。まあ、領土といった話はしなかったけどね。
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ヤマネ
at 2008-04-18 22:06
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善光寺が聖火リレーの出発地を辞退し、コースは変更されることになりました。県内ニュースはこの話題でもちきりです。
もうみんな、次は何が起きるかワクワクして待ってる感じ。チベットを含む中国で行われている人権侵害に対する抗議行動、が、既に別のものにすり替えられつつあるような気がします。上手に説明できないのですが。 それはそうとして、今日の没関系さんの文章、全面的に賛同、共感、支持。それだけ書きたくてコメントさせてもらいました。 あちこちに足跡付けててごめんなさい。
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meiguanxi at 2008-04-19 13:08
ん~、どんな形であれ今はチベットの問題に多くの人が関心を持ってくれれば良いと思います。問題は聖火リレーが終わって胡錦濤が帰った後に注目が薄れないでいるかどうか…
善光寺の会見、僕は十分立派だったと思いましたよ。まあ、「諸々あるけどチベットも」的ではあったにせよ、「チベットで立ち上がった僧侶への弾圧に対する憂慮」ってはっきり言ってましたから。あれは世界中に配信されたと思うしね。 信仰心の欠片も無い者ですが、26日には帰りに善光寺に頭を下げに行こうかな^^
「妨害行為の拡大うんぬん」の件、中国人ナショナリスト達との衝突と反感に対する懸念、まったく同じことを考えていました。中国人側の対抗行動には裏からの煽動の可能性もほのみえて、それがまたいやーな感じです。
広い中国の十数億人の中には中国政府のやり方をおかしいと思う人もたくさんいるはず。中国人の不幸はそういった人々の声がいっさい外には出て来ないことだと思います。 同じようにしょーもない大国、アメリカとの違いはこれだけ、でもすごく大きな違いじゃないでしょうか。
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ヤマネ
at 2008-04-19 17:24
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地元ではかなり長い時間を割いて会見その他を放送していたので、枝葉末節にこだわってしまいました。ダイジェスト版だけ見たら(全国ニュースは私も見ました)、そうですね、文句はありません。
お昼の時間帯のワイドショーなんかでも「ダライ・ラマ認定の方法」が解説されていたりして、それはそれで、今までチベットがどこにあるかも知らなかった人々もいるわけで、その人々が少なくとも知ってくれるという意味ではよいことだと思います。だんだん「暴動」や「衝突」を期待し始めているのが、不安だなと思っただけで。 ところで26日には来信されるのですか・・・。善光寺もいいですが、浅間山の麓の町はその頃タラノメの時期、そして桜が開花する頃ですよ。
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meiguanxi at 2008-04-20 22:32
ルンタさん、ナショナリズムの問題は非常に難しいですね。チベット人たちの抵抗だってナショナリズムではある訳です。勿論、国家や民族間の占領や抑圧へのプロテストは、ナショナリズムと不可分です。ですが、そこから解放されて以後はその何たるかをきちんと考えないとダメなのだと思います。嘗てこの国はナショナリズムで中国を侵略した。敗戦の結果、その誤りを知ることになる。プロテストだった中国のナショナリズムは、勝利した結果、その後も政権求心力の為に温存された。ナショナリズムってとっても絡め取られ易い心情なんですね。今、在外の人まで巻き込んで中国人のナショナリズムが高揚しているのは、「諸外国から袋叩きにされている」ことへの反作用であるのでしょう。だからこそ、中国人を叩いているのではないのだということを、彼らに理解して貰わないと思うのですが…
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meiguanxi at 2008-04-20 22:38
ヤマネさん、まさか暴動なんて起きよう余地は無いと思いますが、衝突はあり得ますね。誰がやったのか分かりませんが、善光寺の落書きも非常に残念です。長野に行った僕は日本国内であからさまな「民族対立」を目にすることになるのでしょうか。そう思うと、気持ちが どよぉ~んとしてきます。
どよぉ~んとした気持ちを癒すには、タラノメでビールですよね^^
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baaba
at 2008-04-21 07:31
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私も善光寺の会見は良かったと思いました。保守的だと思っていた仏教界も、僧侶への弾圧への憂慮、とここまではっきり言う事もあるのだなと。善光寺以外の仏教界も支援声明を出せばいいのにと思いますが。
meiさん、第一印象から素敵でしたよ。本当に、素直に物知りだあと思っただけなの。ところで、どなたかがアメリカと中国の違いを書いていましたが、アメリカもいつも世界の敵扱いをうけていますよね。でも市民単位で中国の今の反応のようなのを見た事がありましたか。私の英語の先生達は非常に冷静です。彼らも外国を旅行する時は、アメリカ人だと知られないほうがいいんだと言うくらい敵視されているのをしっています。客観視できる冷静さは、外国に住むような人達だからでしょうか。只、中国のここ何十年かの激動の歴史を考えると市民の激しい反応も少し割り引いて考えようかという気になります。
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meiguanxi at 2008-04-21 21:41
カナダ人パッカーなんか、アメリカ人に間違えられないようにわざわざバックパックの背中に国旗を貼り付けて旅してますからね。まあ、僕はどちらかというとアメリカ嫌いなのですよ。旅先でもアメリカ人相手にあまり良い思いをしたことがない^^A; でも、人権とかの面に関しては日本よりずっと立派だと思ってたんです。だから 9.11後の世論のあり方にはガッカリでした。そのアメリカですが、欧州に比べてなんとなくチベット問題に関する世論が今ひとつ盛り上がってこないような気がするのは、情報不足かな…
今日、マレーシアでの聖火リレーで Free Tibet!と叫んだ日本人旅行者が100人くらいの中国系の人に囲まれてボコボコにされたみたいですね。そんなことしたら、それこそ世界の人達が 「中国人嫌い」 になっちゃうのに。憂鬱な状況が進行しているみたいです。
マレーシアの事件は私も本当に残念です。子どもにまで手を出したのは、あまりにも軽卒。ほんま憂慮すべきことです。そのことでブログをアップしようとしたけど、まとまらなかった。誰か中国人を冷静にできる人はおらんのか?!中国政府はどさくさに紛れてセラ寺の僧侶400人を拘束するし。。。それから善光寺に落書きしたのは、どこのどいつや!
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meiguanxi at 2008-04-22 23:55
あ、詳しい話が入ってきたら「ボコボコ」って訳ではなかったんですね。でも取り囲んで殴ったのは事実みたいだし、アメリカの大学での中国人女子学生の話と相似的ですね。まるで文革時代の紅衛兵運動みたいだ。文革は中国でも歴史的批判を受けた訳だけれど、大衆レベルではぜんぜん昇華されていないんですね・・・
そうそう、セラ寺の事件なんか、テレビで一言も触れないじゃん。そんなで良く「政治とスポーツは切り離して」とか「妨害は良くない」とかいう話ばかり垂れ流せるものです、この国のマスコミは。400人拘束されても報道しないのだから、聖火だって何か「支障」が無きゃ報道しなかったじゃん!長野が終わって胡錦濤が帰ったら、マスコミは安心して空気が悪い問題と餃子事件以外は報道しなしつもりなんでしょうか? なんか右派の物言いみたいな印象になってるかな?知らない人の為に断っておきますが、僕はバリバリ左派だし、日本人の平均値からして相当の親中派です・・・
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meiguanxi at 2008-04-24 01:05
はぶさん、まあ餅突け、あ、いや変な場所用語になっちゃったw 僕はあそこの住人ではないです。
で、落ち着け。その情報、ソースが分からないっしょ。しかも「創価学会だと悟られるな」という指令というから、確かめようが無い。母は昔からの創価学会員ですが、彼女はその情報を知りませんでした。その手の釣り情報には注意した方が賢明かと。ま、当日、見掛けたら報告します。 というか、創価学会がどんなに中国政府と仲良しだとしても中には、明確な抗議をしないのは「おかしいぞ」って思っている人だって少なからず居る筈だって思うのだけれど。公明党だって人権を前面に出してる政党である訳だし。てか、社民党・・・なにやってんだ・・・ あ、また右派めいた発言になってるけど、冗談じゃなく僕は根っからの左派です。
釣り…、単細胞はそこまで考えませんでしたが、ま、あくまで冗談(皮肉)のネタで諏訪。
それより情報を利用してチベット人や支持する人たちのイメージを危険なものに仕立てようとする様々な思惑は、ほんま不愉快ですね。嘆かわしいです。今回の聖火リレーの背後には数多の命が半世紀にわたって犠牲になってきたこと、そして今も続いていることを、なーんも考えないなんて私の中ではあり得ないことです。
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meiguanxi at 2008-04-24 20:55
あ、釣りかデマかホントか分からないけどね。
キャンベラ、凄いことになってましたね。1万人の五星紅旗に取り囲まれて罵声を浴びせられる雪山獅子旗。バスで8時間掛けて学生を引率して来たという中国人大学講師(大学講師!)が 「これまでで最も成功した聖火リレーだ。誇りに思う」 と意気揚々と語ってました。はっきり言っちゃいますが、ダッサっ!彼が人文系の学者じゃないことを祈りますが、聖火やオリンピックや世界の目やナショナリズムやのなんたるかを全然分かってない。何がダサいのかについて彼らが理解する日が来るとしても、全然ずっと先のことなのかもしれませんね。憂鬱だぁ。長野もあんなふうに成るのでしょうね・・・
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ヤマネ
at 2008-04-24 22:05
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キャンベラはいつから中国になったのかと思いました。映像に欧米人の姿が映ってない・・・。オーストラリアの人々は、聖火リレーを見られたのでしょうか? それともあまりにも異様な雰囲気に、行かないほうがいいと考える人が多かったのでしょうか。
それにしても、すぐに動員されてしまう中国人たち。動けば動くほど世界中から嫌われる、バカにされる、それがどうしてわからないんだろう。悲しくなる。日本の中国大使館も、国旗なんか配ってる場合じゃないです。 日本での聖火リレー、長野なんかじゃなく、東京だったらよかったのに。あ、没さん来信されるんだった、えーと、ともかくご無事で。
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meiguanxi at 2008-04-24 23:56
ん~、白人だってそれなりに居た筈だと思うのだけれど…やっぱりマスコミっていうものはセンセーショナルな画を編集したいっていうのがあるのかな。結局のところ、何か事を起こさなきゃ、いや元へ、起きなきゃ報道されるのは「大きな混乱も無く」に成っちゃうんでしょうか…
そうですね、長野オリンピックの時の良いイメージだけでその再来を素直に待ち望んでいた、こう言っては語弊があるかもしれないけどイノセントな長野市民や、ましてや善光寺には今回の聖火は全く不似合いなことになってしまいましたね。どんなに混乱するとしても東京の方が良かったと思います。 僕としては勿論、長野市民には迷惑を掛けないように、もし出来るなら例え1人にでも、どうして抗議なのかを少しでも理解して貰えるように話す機会があればと思ってます。 もちろん日本のチベット人には自重的であって欲しいし、知る限りでは彼らは本当にその積りです。でも、僕はチベット人ではないしチベット仏教徒でもない。彼らの邪魔になる結果は避けるべきだと考えていますけれど。
あれはやっぱり聖火リレーだったのですか!う〜ん、中国祭り in キャンベラかと。。。
青い軍団の次は赤い大群。まあ見事でしたが、お二人のおっしゃる通り、東京だったら良かったね。なに考えてんだか。 没さん、ニュースネタにならないでね(笑) 善光寺の法要参加したかったけど、大阪と両方は時間的に無理なのでパスです。長野市に中央本線が通ってないことに気付くのが遅かっただ。。。ま、気付いたところで所要時間はどうにもならないが。
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meiguanxi at 2008-04-25 01:02
ん?27日の中ノ島、行かれるんですか? 僕は水曜日、外苑前での49日法要後のペマさんと中沢新一の対談を見てきました。というか心情的には参加してきました。中沢新一が来ていた為か、デモと違って大人な人達が多くてそれはそれで本当に良かったと思います。印象的だったのは、ペマさんが「手を貸してください」って何度も言っていたこと。中沢新一がダライ・ラマ法王のような高い視点から近視眼的利益じゃなく長いスパンで考えなければいけないって言ってたこと。そう、これは反中運動ではないし中国人の為でもあり世界の人々の為にも繋がっているのだと、聖火が過ぎても胡錦濤が来て帰ってもオリンピックが終わっても、彼らチベット人の闘いはまだまだ続くのだし世界はそれをもう2度と忘れたり見捨てたりしちゃダメなんだってことを、改めて思いました。
ニュースネタねぇw なったら罰金カンパ運動でも組織してくれる?w
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baaba
at 2008-04-25 21:14
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明日長野ですよね。お気をつけて、怪我などされないよう。なんといっても脛に傷持つ身、アレ、かかとでしたかね。なんて冗談ではなく、ご無事で。たらの芽とビールを楽しむ余裕もあるといいですね。
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ヤマネ
at 2008-04-25 22:23
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東京のほうがよかったというのは、その方が圧倒的多数の人々が参加できるから、です。長野じゃ人口も少ないし、正直言ってやはり地方都市ですから、みんな怖い気持ちが先に立ちます。周囲との兼ね合いもある。東京はそういう目に見えない鎖が希薄だし、何より人がたくさんいるから・・・。もっともっと世界から注目されたと思うんですよ・・・。残念。
明日、私は行けませんが、"一番搾り"冷蔵庫に入れときますからw しなの鉄道もなかなか風情があってよろしいですよ。あ、長野市は午後から雨ですよー。
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meiguanxi at 2008-04-25 23:45
既に今日の午後、長野に入りました。駅前はけっう都会風とはえい、山のある風景はやっぱりいいです。
それに反し右翼の街宣車がいっぱいいてウンザリです。善光寺は参拝者の半数近くが中国人でした。 詳しくは後日。
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meiguanxi at 2008-04-26 21:14
精神的にも体力的にもボロボロに成って、おまけにずぶ濡れになって帰って来ました。もう動けない・・・。
僕はあんなことをしに長野まで行ったのじゃない。 それではいけないのだと知りつつ、当分、中国人を見たくないし中国語を話したくない気分です。 それと、チベットを支援すなら右も左も関係ないとこれまで言ってきましたが、もうホント、右翼とその系の連中にはうんざりです。今日はここまでで勘弁してください。
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ヤマネ
at 2008-04-26 21:31
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お帰りなさいです。
あ、今コメントいただきましたね、お疲れなのにありがとうです。 県民のくせに行かずに申し訳ない。せめて傘でもさしててあげたかった。 ニュースで警官に取り押さえられてる黒い服のロン毛のチベット支持者が没さんじゃないかと心配してました。身柄引き受けに行こうかと思った(笑) ビール冷やしてお待ちしとりましたが、軽井沢の最高気温は5度で、ビールじゃさらに身も心も冷えるとこでした。タラノメもまだだし、また今度。ゆっくり休んでください。
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meiguanxi at 2008-04-27 18:21
お二人さん、逮捕されてもいいから両腕をバンダナで縛って聖火隊の前に座り込んで we shall overcome を一瞬でも唄おうと思っていたの。でも聖火を待っている間に既に精神的に消耗してしまい、チベット人たちの為にっていう想いだけでやっと気持ちを繋げて、旗を振って声を張り上げ続けるだけでいっぱいいっぱいでした。
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ヤマネ
at 2008-04-28 02:10
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ボケたこと書いちゃったので一旦削除してあらためて。
いいも悪いもテメエ一人が背負う覚悟があるんなら何したってかまやしない、例えそれが法に触れることであれ、人にはやらなきゃならない時ってもんがある。と、思ってます、いつも。没さん、何かやりそうだなと思ってた・・・w でも、その時その場でそちらを選んだんだから、そっちが正しい道だったんだと思います。削除したコメントはそういう意味でした。 個でありつづけるって、難しい。あの旗の中の1本が没さんだったんですね・・・。
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meiguanxi at 2008-04-29 12:42
ヤマネさん、ははは^^ 実は削除されちゃった方も見てはいたのですw
はい、そのような意味で読んでいました。前の方が愛情が感じられて良かったかなww 長野、僕はリレー・スタート時間に変更された法要を遠慮させて貰ったこともあり、あの物凄い人の波とシュプレヒコールと怒号の中で、とても孤独を感じていたんだと思います。今もそれは続いている。ちゃんと思想的・精神的に立て直さなきゃ。
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ヤマネ
at 2008-04-29 18:26
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愛情減らしてゴメンなさい(笑)。書き直さなきゃよかったですね、気になって眠れなくて夜中にゴソゴソやってたんだけど・・・ww
当分、当県には足を踏み入れたくないかもしれないけど、そして思想的な立て直しには何ら意味ありませんけど、タラノメ、いい感じになってきました(笑)。タラノメかコシアブラ、どっちもダメでも(数日の勝負なので)シダレザクラと静穏だけは保証する(笑)ので、ゆっくりしに来ませんか? どこにお住まいかは存じませんが、そこよりはヒマラヤに近いですーw
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meiguanxi at 2008-04-30 00:36
この記事のコメント欄、長すぎるから^^A;
いや、長野人達はみんな朗らかでしたよ。居酒屋で話したカップルの女の娘は本当に聖火を楽しみにしてたのに残念だって訴えていたけれど、それなりに友好的に理解してくれたし。って、そんな夜にも呑んでるのかオイラ_| ̄|○ でも、長野、遠いのよねw しかもロバさん呑めないしww そのうちフラっと因らせて貰うかもしれませ~ん。 兎に角まず、5月6日に向けて強い心を作っておこうかと思います^^
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