チベットの為の、世界の為の願い
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                                チベットの為のキャンドル・マーチ 2008.4.13 東京渋谷


 ロサンジェルス以来すっかり形骸化してしまい、いったい誰のための何を目的にしたイベントなのか分からなくなってしまった北京五輪の聖火リレー。昨日(2008.4.17)は一つの “山” とも目されていたインドで行われた。ご存知の通りインドにはチベット亡命政府があり10万人の亡命チベット人が暮らしている。日本の報道では 「大きな混乱も無く」云々と報道された。イスラマバード(パキスタン)にせよデリー(インド)にせよ完全に隔離された場所で、厳戒態勢の警備で行われているのだ。「大きな混乱も無く」…やれやれ、日本のマスコミは聖火への抗議活動をする者達がロケット弾でも打ち込むとでも思っているのだろうか。あのような態勢での形式的リレーを報道するのに、その形容には何か意味があるのだろうか。もしあるとすれば人民日報やCCTV (中国中央電視台)がそのように伝えるのだろう意図と同じでしかないのではないか。
 一方、チベット問題に関する日本政府の態度は相変わらず曖昧なものだ。昨日、高村正彦外相が来日中の楊潔篪(yang jiechi)外相に申し入れをしたそうだが、「更に透明性を確保してほしい。対話が重要だ。対話の姿勢を打ち出してほしい」(MSN産経ニュース)といった御座なりなものでしかなかった。訪中中の自民・公明の幹事長が同様な内容の首相からの新書を胡錦濤(hu jintao)国家主席に手渡したそうだが、「善意の提言と思う」 「親書をいただき、中日関係の発展を重視する首相の態度に感銘を受けている」(公明新聞H.P.)と感謝される始末だ。「言わなきゃならない立場なのでその辺は受け流してね」という話が出来ていた上でのデモンストレーションなのだろう。公明党の北側一雄幹事長に至っては 「(チベット問題での)胡主席の話はよく理解した。日本国民にもよく伝えたい」(同上) と中国政府のスポークスマン役を買って出るかのようなことを伝えている。また、長野市長はインタビューに応えて 「(聖火リレーが)平穏無事に終わることをただただ願うばかりです」 と話している。オリンピック競技は政治と切り離して考えるべきだとしても、少なくとも今回の聖火リレーに関してはもはや政治とは切り離せないものになっていることは、世界中が認識するところだ。この折、上のような発言は本人の意図がどうあれ、それ自体が既に中国政府の意図に沿った政治的発言になってしまうのだという程度の政治感覚は持っていてしかるべきだと思うのだが。
 ところでロンドン、パリ、ロサンジェルスと続いたリレーに関しては 「日に日に妨害行為が拡大している」云々、「暴力は宜しくない」 云々といった論調で伝えられていた。だが果たしてそれは本当だっただろうか。確かにロンドンではトーチを奪おうとした男を1人見た。ペットボトルの水を掛けようとした男と消火器を噴きつけた男がいた。パリでは車椅子の中国人アスリートからトーチを奪おうとした男がいたようだ(これに関してはその男が誰であったのかについて疑問の声もある)。ブエノスアイレス(アルゼンチン)では水風船が投げられた。さて、皆さんはこれ以外の 「暴力的妨害行為」 を目にしただろうか。確かにアテネやロンドン・パリで道にダイ・インした女性や座り込んだ女性たちがいたし聖火隊の前をチベット国旗を持って走った男が警察に組み倒された。その他にもコースに入ろうとした人は大勢いたのかもしれない。それらは例えば日本では威力業務妨害に当たる可能性はあるにしろ、決して暴力行為と言えるようなものではない。もし他に無かったのだとしたら、それは 「日に日に拡大」 したと言える推移だろうか。ロサンジェルスではそもそも誰もいない高速道路のような場所を走ったのだ。
 抗議行動と妨害行動、まして暴力とを混同するこのような報道の賜物として、長野市民の間では不安が助長されたようだ。休日登校日だった高校は休校を決め、善光寺参道の商店からは 「暴動とかが起こると嫌だ」 といった声まで聞かれる。暴動? やれやれ…これまでの抗議行動でそれに近いことが起こっているだろうか。いや、勿論そう発言した人を責められない。抗議活動が各国で起こっている理由、チベット問題の本質を伝えることをこちらも御座なりにしたまま、「長野は大丈夫か」 「無事にできるのか」 と不安を煽る報道ばかりが連日垂れ流されてきたのだから。
 ところがだ、ここに来てそれも杞憂とばかりは言えなくなってきた感もある。もちろん抗議活動が暴徒化するなどと思うのはナンセンスだが、ある種の小競合いのようなものが起きてしまう可能性は否定できない状況になってきているように思われる。各国の在外中国人サポーターたちの動向だ。いや、彼らが暴力的な行動をしようとしているなどというデマを流す積りではない。彼らの目的としても平和裡にリレーを成功させることの筈だ。だが、衝突というのは双方にその気が無くとも起こり得るものだ。例えば中国人サポーター達が聖火を守るという目的で沿道の前列を占領する形になったとする。一般の見物客も抗議をする者もその後ろに退けられる形だ。見物客は不満を抱くだろうし抗議する者は前へ出ようとするだろう。…キャンベラ(オーストラリア)では1万人の中国人サポーターが結集する勢いだという。長野にも2000人を集めると言われている。
 当初、この問題に於ける中国国内での反欧米ナショナリズムは十分な情報が与えられていない為だと思われた。だが、実際には在外の留学生や華僑までもがそういったナショナリズムの波に乗っているようだ。彼らの気持ちも理解できない訳ではない。なにしろ世界中から非難の声を浴びせられているのだから。だが、おそらくそうしたナショナリズムは建設的な何物をも産み出さない。むしろ逆効果だ。彼らに理解して貰いたいことは、チベット問題での抗議は中国人にではなくあくまで中国政府に対して行われているのだということだ。だが、中国国内ばかりでなく在外中国人もナショナリズムに走るなら、その姿は諸外国の人々の反感を増徴させてしまう結果になるだろう。
 実はこのエントリーは4月15日夜にUPされたものなのだが、17日までは写真と各サイトへのリンク以外には 「本日は写真のみということで、文章は後日」 と期されていただけだった。16日、早くもコメントが付いてしまったのだが、実は元々このエントリーでは長野を前にしたマスコミの報道と中国人のナショナリズムについて書こうと思っていたのだ。コメントをくれた方には本文が後出しジャンケンのような形になってしまって申し訳ないのだが、本当のところ、後者に関してはそのコメントをくれたような中国の方にこそ訴えたかったのだ。チベットの問題への世界の批判は中国人叩きではないのだということ、そしてこの問題は中国人自身の人権と自由とに繋がる筈の問題であるのだと。また嘗て日本軍によって侵略され満州を占領されたあなたたち中国人には、きっとチベット人のことが理解できる筈だと。だから本当なら西欧で抗議行動をする人達や僕と、貴方たちは対立ではなくむしろ共闘できる筈なのだと。

 上の写真は4月13日、季節外れの冷たい風が吹き抜ける東京渋谷で行われたキャンドル・マーチ。今回の騒乱で亡くなった人々を痛み一日も早く問題解決への道が開かれるようにとの願いから、普通のデモの形式ではなくそれぞれキャンドルを手にアメリカの黒人解放歌であり公民権運動で唄われた 『We shall overcome』 を唄いながら行進したものだ。下の写真は行進の後、代々木公園で行われたキャンドル・ライティングの様子。一般メディアではあまり大きくは扱われなかったかもしれないが、参加者はマーチに300人、ライティングに150人といったところだろうか。

 チベット人たちがチベットの未来を自らの手で決められる日が一日も早く訪れるように
 中国と中国人たちが本当の意味で世界から尊敬される時が何時の日か訪れるように
 願わくは、日本と日本人も…

                                                                2008.4.18

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             チベットの為のキャンドル・ライティング 2008.4.13 東京・代々木公園

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by meiguanxi | 2008-04-15 21:09 | Free TIBET
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