長野での集会で訴える渡辺一枝さん・25日夜 聖火リレー前日25日午後、僕が14時半にバスで到着した長野市内には何台もの右翼街宣車が大音量で走り回り駅前でも長々と演説を続けていました。駅前で静かに雪山獅子旗(チベット旗)を振っているグループもありましたし、僕も一時、駅から駅前広場に降りる階段上の展望スペースから広場に向かって旗を掲げたりもしましたが、拡声器で演説する人や街宣車と同じ仲間だと思われることは不本意だったので、駅から善光寺、スタート地点までを雪山獅子旗を背中に背負って歩きました。善光寺境内で見かける半分位の「観光客」は中国人であるかのような状況でした。 当日、僕が善光寺に向かって駅近くのネットカフェを出たのは 5:30位でしたが、既に沿道は到るところ中国の赤い旗(五星紅 旗)で、更に次々に中国人を乗せた大型バスが到着し続けてい 善光寺法要に集った人々・26日早朝 ました。善光寺には法要に参加しようと沢山の人達が集まって いましたが、僕は本堂に頭を下げた後、8:15からに変更になった法要を遠慮させてもらい町に戻りました。 大門付近(聖火が善光寺前を右折する場所)はコース内側の一画に赤い旗、善光寺側の二画にチベット旗、駅に向かう道のコース左側の一画が双方混合という状態でした。僕は中国人で埋め尽くされた内側の一画でチベット旗を降り続けていたのですが、大量に集まった中国人たちは巨大な五星紅旗を持って善光寺側二画に押し掛けて雪山獅子旗を覆い隠してしまおうとする行動にでました。結果としてコース外側の区画では揉み合いというような事態が発生しているように見えました。 僕の一画で雪山獅子旗を振っていたのは僕を含めて2人だけだったのですが、その旗の前に赤い旗を出そうとしたり2本の棒に張られた大きな横断幕で僕の旗を覆い隠そうとしたり、それは酷いものでした。僕はハンドル・ネームからも分かるだろうように、おそらく日本人の平均値からして相当に親中派ですが、冷静に話そうとしても一向に聞く耳を持たない状態で彼らの言い分を撒き散らしていました。 聖火が通り過ぎた後、駅反対側のゴール地点に移動している最中には、バカヤローと罵声を浴びせられました。僕は個人で移動していたのですが、中には歩いていることに恐怖を覚えたチベット支持者や一般市民もいたという状態でした。ゴール前の道でチベット旗を持って休憩している時には Go out!とかGo away!と叫ばれました。ただ、一方では右翼や新風系だかなんだか良く分かりませんが、チベット支援を訴えている中にも相当に口汚く罵っていた連中もいたことは事実であって、中国人の口汚さだけを一方的に批判できるような状態ではなかったのも事実です。 ずぶ濡れになりながらの Free Tibet ・ゴール隅 警察がゴール会場に入れてくれるという話になり言われるままに付いて行ったのですが、そこには善光寺での法要を終えた日本に住む60人のチベット人のうち40人、SFT や「チベット問題を考える長野の会」やその声に応えて集まったが人達が結集していました。しかしそこは式典場所から遠く離れた、公園のいわば隠れた一画で、正直に言えば警察によって沿道からそこに押し込められてしまったという感が否めません。その場所でのシュプレヒコールは感動的でしたし、みんなズブ濡れになりながら一生懸命がっばっていました。 さて、ですが、ここからが本題です。心身ともに疲れ切って雨でビショビショになり寒さに凍えながら帰ってきました。僕はあんなこと(あの日一日諸々)をする為に東京から長野まで行ったのじゃない。チベットで立ち上がった僧侶を含めた人々を武力弾圧した中国政府、聖火をチベット、そしてチョモランマに持って行き「ここは中国の土地だ」と世界に宣言しようとしているトーチ・リレーに抗議し、チベットでのチベット人たちの安全と捕らえられている人々の釈放、海外メディアの入域を訴え、国際社会と中国政府がチベット問題の本当の解決に向かう為にほんの少しでも力になりたいという想いから出掛けて行ったのです。圧倒的な中国人の大集団に対抗したり対決したりするために行ったのではない。 勿論、正々堂々と平和的に一生懸命にチベット支持と中国政府への批判とを訴えて雪山獅子旗を振った大多数のチベット支持者たちを非難しているのではありません。僕を含めて結果的には中国グループに対抗するかたちになってしまったとしても、あの状況ではそうならざるを得なかったのですから。その意味で、中国人たちが大挙して長野を訪れたことは長野をむしろ混乱に陥れる結果になったのだと、その無知なナショナリズムに強く抗議します。 押さえ込む警官隊・大門交差点付近 気勢を上げながら移動する中国人・長野駅南口 当日の報道、取り分けテレビ・メディアでどのように報道されていたのかについて殆ど知らず、一夜明けて漸く少し見ただけなのですが、どうだったのでしょう。新聞によると卵やペットボトル等々を投げ付けたり中国人を殴って流血沙汰を起こしたりといったことがあったようです。それらの事象がクローズアップされているのでしょうか。そういうことをやった連中は決して TSNJ や SFT、アムネスティや「チベ問題長野」、セーブチベットネットワークに賛同して長野に行った人達ではない筈です。更には僕が出会って話した限りにおいて、2チャンネルや mixi の off として集まった人達の多くも平和的にチベット支持を訴え中国政府による弾圧に抗議していた筈です。 暴力行為をした人達、汚い言葉で中国人と罵り合っていた連中も含めて彼ら右翼だか新風系だかはっきりとは分かりませんが、僕は少なくともその系の人達に非常に腹を立てています。はっきり言ってしまえば、チベットを支援する我々の声と市民の気持ちとを分断させる破壊行為だと感じています。告白しますが、僕はTSNJの意に反して、バンダナで両手を縛って聖火「隊」の前方に座り込んで、一瞬でも we shall overcome を唄おうかと本気で考えていた(これは威力業務妨害に当たるのかもしれませんが決して暴力ではない)のですが、暴力行為をした連中と同列に扱われかねなかったのかと思うと、やらずに良かったと感じています。やらなかったのは、圧倒的多数の中国人との対決・対立状態になってしまったことにウンザリしてしまったからなのですが。 さて、新中派ではあるけれど、そしてそれではいけないのだと ペマ・ギャルポ氏(中央)・23日東京 知りつつも暫くは中国人を見たくないし中国語を聞きたくもないと いう感情に流されそうではあるけれど、それはそれとして。SFT や TSNJ、アムネスティやチベ問題長野、セーブチベットネットワークは今回の長野で暴力的行為をした連中(報道では台湾人と言われている乱入者、彼は在台湾亡命チベット人2世なので、彼らの立たされている現状を考えれば彼の行為を非難するつもりはありません。そもそも彼が何をしようとして飛び出したのかのも分かりませんし)や口汚く中国人を罵倒した連中、及びそういう組織団体に対する明確な批判と遺憾の意を表明するべきだと考えます。ペマ・ギャルポさんもおっしゃる通り、チベット人たちには右や左を選んでいる余裕は無いのだということは理解できます。ですがそれはそれとして、チベット支援の声を市民とを分断するそのような行為を私たちは看過すべきではないと考えてい ます。 ※4月29日追記 (1) 文中に書いた台湾人と報道された亡命チベット人2世、タシィ・ツゥリンさんは聖火に向かって突っ込んだのではなく、 聖火を映すTVカメラに向かってチベットの旗を振って Free Tibet!と叫ぶためだけに、世界に向けてそれを訴えるた めだけに飛び出したのでした。あれは身体を張った抗議行動であって、決して暴力などではありえません。 (2) 2番目の写真の渡辺一枝さんは作家・椎名誠さんの奥さんで、1987年以来何回もチベット文化圏を旅しています。 細身で華奢に見えますが、95年にはチベット高原4000kmを越える距離を馬で4ヵ月半掛けて歩かれました。 チベット人公務員や会社員は家に仏壇を置くことも寺に参拝することも、ジョカンをコルラすることさえも許されていない という、実際に見聞してこられたお話が印象的でした。 TSNJ (TIBET SUPPORT NETWORK JAPAN) TSNJ blog アムネスティ・インターナショナル日本 SFT (Students for a Free TIBET) Avaaz.org ダライ・ラマ法王日本代表部事務所 (※ 諸々の責任は負いかねますので、あくまで自己責任でお願いします)
by meiguanxi
| 2008-04-27 16:11
| Free TIBET
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Comments(6)
長野、お疲れ様でした。
今日のテレビで中国大使館が中国人に集合を呼びかけた、と明確に言ってました。こんな行為が余計他の国からの反感を買い、根拠のなくもない恐怖をあおるのだということ、それが分からない中国政府のセンスのなさは救いようがありませんね。 こんな聖火騒動の裏で、チベットの現状はますますひどいことになっているだろうと思うとたまりません。と言って何一つ行動しないへたれですが。
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改めて、お怪我がなくて何よりです。
今日(あ、もう昨日ですね)大阪あるいてきましたが、長野にも行った人も来ていました。 更にお呼びでない街宣車も何台か現れました。ある会などはチベット国旗まで用意してましたから明らかに合わせて来たのでしょうね。バカでかい音楽は当然、同じ音量で中国人へ罵声とばすわ警察に突っかかるわ、ほんま迷惑でした。 それにしても長野の赤い大群。TVを通してもウンザリしましたが、彼らが領土問題、特にチベットの事になると感情的に過剰反応するのは、現場の状況を実際に見たことがないと云うだけでなく、心の奥で「中国のチベット」に疑問をもっているからではないか___滑稽ですらある彼らの姿を見ていると、ふと、そんな気がしました。希望的観測かもしれませんが、彼らだって中国政府の欺瞞と怖さをよく理解しているはずです。
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baaba
at 2008-04-28 19:33
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本当にお疲れ様でした。テレビを見ていて大変そうと思いましたが。
私も何もできないへたれです。今日ネットでチベット僧の殺された死体、ダライラマに面会にヒマラヤの山中を行く一列に歩くチベット人を中国兵が前から討ち殺していく画像を見ました。 日本にいる中国留学生の皆さん、皆さんが学校で習われた事が、本当に事実か、ちょっとだけ調べてみませんか。 日本が60数年前にした間違いを、中国がするのはいやでしょう? そして、もしかしてあなたが、疑問をもったらそれをあなたの国で、はっきり表明できますか? こんなことを人のブログに書いていいのか、わかりませんが。 meiさんに不快なことでしたらごめんなさい。
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meiguanxi at 2008-04-29 12:02
ルンタさん、はぶさん、baabaさん、纏めてでごめんなさい。
思い出したんですが、真っ赤な大群の中でたった2人だけでチベット国旗を振っていた時、どうにも分からんチンの中国人と議論になったのですが、「こんな映像が世界中に流れることは中国にとってマイナスなんだよ!」という僕の言葉に、小さくではあるけれど頷いてくれていた中国人女子学生もいたんです。アメリカでの女子留学生の件もあるし、あの状況ではそれ以上の反応を示すのはきっと無理だったと思います。 中国人のグループに突っ込んだり殴り合いをしたり、或いは声高に罵倒していた連中の興奮や歓喜も5000人の中国人たちの姿と精神構造的には相似的です。 ひとつだけ、善光寺での法要に参加した後にゴールの若里公園に向かった人達は少し違う経験をしたのかもしれません。その移動途中のデモでは中国人にかなりの嫌がらせを受けたみたいではあるけれど。 中国政府も留学生たちもこれを期に何かを変えなければならない必要性に迫られるとは思いますが、チベ支援活動も僕も、今一度、しっかり立て直さなければいけないことがあるような気がしています。
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lunablanca
at 2008-05-08 14:38
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私がお気楽な旅に出かけている間に、本当にお疲れ様でした。
韓国が中国人へのビザ発給厳格化(聖火リレーでの暴力を受け)....しましたね。 それに引き換え何なんだ?日本の首相は?パンダなんていらねーよ!と 悪態を付いてる私です。
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meiguanxi at 2008-05-10 19:23
長野の後、6日には原宿周辺で4000人のデモに出たよ。というか、隊列整理をしてた。るなっちが↑のコメント書いてくれていた時間には、早稲田大学で抗議の声で盛大に胡錦濤を出迎えてお見送りしてきたよ。なのにTVではあんまり報道されないのね、ちょっとだけ。パンダと卓球ばっかり・・・
というか・・・るなっち、羨ましいぞー! るなっち糾弾! るなっちの夏休み粉砕!
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